Coccoの「衝撃発言」

 「夕刊フジ」(ZAKZAK)に面白い記事があったので、メモ。
 題して、「若槻千夏、Coccoが堂々「うんこ」発言連発のワケ」(笑)。

 衝撃発言が飛び出したのは7月27日深夜に放送された「僕らの音楽」(フジテレビ系)。ゲストのシンガー・ソングライター、Cocco(30)が香取慎吾(30)と対談中、「私にとって歌は、辛い気持ちを吐き出すためのもの。うんこだった」と吐露。さらに、「歌が好きだと気づいて、『うんこ』が『うんこ』じゃ無くなったとき、歌っちゃいけないと思った」などと、うんこを連発した。



 記事では精神科医が、「今は『女性らしい』というのは売りにならない。だから言葉で中性化を目指す。同じような現象は1980年代のニューヨークでもありました」と知ったふうなコメントを寄せている。

 ハァ? Coccoはべつに時流を意識して「うんこ」という言葉を使っているわけではないだろうに……。
 かつてCoccoが、デビュー・アルバム『ブーゲンビリア』を発表したことについて、「でっかいうんこを出した感じ」と表現したのは、ファンなら知らぬ者はないのである。

芥川/直木賞「受賞の言葉」コレクション

 最近ひいきの作家の1人、絲山秋子がついに芥川賞受賞。めでたい。
 絲山は、受賞に際して「のどの小骨が取れたよう」と語ったのだそうだ。4回目のノミネート(直木賞も1回候補になった)でようやく受賞し、うれしさよりも安堵が先立つ気持ちが伝わってくる。巧まざる名言といえよう。

 この受賞を寿いで、前にメインサイトで書いた「芥川/直木賞『受賞の言葉』コレクション」を、以下にコピペしておこう。
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 長じてから小説家になるような人は、たいてい、10代前半のころから小説家を目指しているものだ。そして彼らは、そのころから「私の小説が映画化されたら、主演女優は誰がいいか?」とか、「芥川賞を取ったら受賞の言葉はこんなふうにしよう」などと、やくたいもないことを夢想しては、貴重な青春の日々を浪費していたりする。そんなわけで、女流作家の「受賞の言葉」には名言が多い。

 たとえば、山田詠美が87年に直木賞を受賞した際の、こんな言葉――。

「これからも、自堕落な私生活とストイックな執筆生活を両立させていきたい」

 山田詠美といえばスキャンダラスな話題の多い作家だが(昔SMモデルをやっていたとか、当時のヌード写真を「撮り下ろし」と偽って掲載した雑誌の編集部に殴り込んだとか……)、スキャンダルをむしろ“養分”として成長を続けるしたたかさを持った作家でもある。
 直木賞授賞式のあいさつで述べたこの言葉には、そんな彼女の個性が十全に表現されていて、じつにカッコイイ。芥川/直木賞をめぐる女流作家の受賞の辞の、ベストワンだと思う。

 ついでにワーストワンも紹介しておこう。荻野アンナが91年に芥川賞を受けたとき、受賞を知らせる電話に対して答えたという、この言葉だ。

「あっ、ショウ(賞)」

 彼女はかねてより、「受賞の知らせを受けたときはギャグで答えようと思って」いたのだそうだ。満を持して放ったギャグがこれだというのだからコワイ。電話の向こうで、受賞を知らせた文藝春秋の社員はどう反応したのだろう? 御祝儀がわりに笑ってあげたのか? それとも椅子からずり落ちたのか?

 この「あ、ショウ」発言をめぐっては、荻野とコラムニストの中野翠との間でちょっとした“論争”も起きた。

 荻野同様、笑いについても一家言ある中野は、雑誌の連載コラムで「あ、ショウ」を「目まいしそうな、純文学界の低レベル『ギャグ』」とおちょくり、「『ギャグ』って言葉をそう簡単に使わないでいただきたい」と荻野に釘をさしてみせた。すると、荻野も別の雑誌の自分の連載コラムで反論、「ギャグ」の定義をめぐる世にも奇妙な“論争”に発展したのだ。

 もっとも、荻野はコラムの中で「東中野黄緑」を名乗るなど、いかにも“座興です”という雰囲気を漂わせての「反論」であったし、対する中野も、コラムの格好のネタとして使っていただけではあろうが……。

 次は、我々の日常生活にも応用できる無難な名言。小川洋子が、4回連続で芥川賞候補にのぼったのち、91年にようやく受賞したときの言葉だ。

「過去4回の選後評は、私にとってかけがえのない道しるべになると思います」

 選考委員の評を「かけがえのない道しるべ」と言うあたり、いささか優等生的ではあるが、じつによい。読者諸氏も、何かの賞をもらった際には、ぜひこの言い回しを使ってみていただきたい。

 次に、80年代に直木賞を受賞した3人の女性の、味わい深い受賞の言葉を並べてみよう。いずれも正統派の名スピーチという印象である。

「50歳を過ぎて新しい分野のスタートラインに立ててうれしいし、スリルもあります。健康に不安もありますが、耳元でピストルが鳴った以上走らざるを得ない。今日からは直木賞を夫とも思い、といっても10年間世話になったテレビともうまく折り合って、楽しい作品を書いていきたい」向田邦子(80年)

「今日は太陽がいっぱい降り注いでいるような気がします。生まれて初めての経験です。酒場をやっているときに見た人間のギリギリの姿や、作詞をやって身につけた省略法など、いろいろなものがプラスして今回の受賞になったと思います」山口洋子(85年)

「直木賞の受賞者が入っている『文芸手帳』を見て、最後の空白の部分に林真理子と書くといかにもそぐわなくて笑ってしまう感じでした。私は直木賞について、一生そんなチグハグさを抱くことでしょうが、とまどいながらも、いつまでも新人の気持ちで精進していきたい」林真理子(86年)

 ――いずれも、言葉の中に歩んできた人生が凝縮されているという印象。そこがよい。

 最後に、芥川賞の受賞の言葉から名言を2つ。授賞式でのスピーチではなく、『文藝春秋』誌上に掲載された「受賞のことば」の抜粋である。

「受賞の夜、このまま眠ると、朝になって夢だったということになるのではないか、という不安で寝つけませんでした。いまもって、ただ思いがけなかったという以外の実感が湧いて来ません」津村節子(65年)

「東大を出てからよほどになるのに、なおその学歴を意識しているような人に有能な人はすくない、卒業以来ほとんど進歩していないからだ、という意味のことを、きくか、読むかした記憶があります。このたび芥川賞をいただいて、私はこの思いがけない栄誉にそのようなすがり方をするような気になってはならないと、考えています。受賞を意識しなくなる日がくるように、私は自分のささやかな文学が自分なりにわずかずつでもよくなるよう精一杯勉強していきたく思います。芥川賞受賞をもっぱら、初心を忘れぬための灯としてゆくつもりでおります」河野多恵子(63年)

  ――2つとも、どんな分野の「受賞の言葉」にも応用可能な、普遍性を感じさせる名句といえそうだ。さすがは言葉のプロたち。 

結婚する理由、しない理由

 「元祖プッツン女優」藤谷美和子が、久々にとびきりの名言をかましてくれた。
 今月はじめに演出家の岡村俊一氏と結婚していたことが28日に明らかになった際、結婚の理由について聞かれると、こう答えたというのだ。

 「だって、結婚しないと離婚できないでしょ?」

 「結婚を前提としたおつきあい」ならぬ、「離婚を前提とした結婚」! まるで、コーエン兄弟の映画『ディボース・ショウ』の中のセリフのようだ。

 やっぱり藤谷美和子はスゴイ。何がスゴイのかよくわからないがとにかくスゴイ。かつて藤谷は「私が嫌いなのは誤解されること、そして理解されること」という名言を吐いたが、たしかに理解を超えた女優である。

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 「結婚する理由」をめぐる名言というと、もう1つ、ピアニストの中村紘子がかつて言ったこんな言葉を思い出す。

 「だって、結婚していれば、少なくともあなたみたいなインタビュアーに、“なぜ結婚しないんですか?”と訊かれなくて済むじゃアありませんか?」

 これは、名コラムニスト・青木雨彦(故人)が『にんげん百一科事典』(講談社文庫)で紹介しているエピソード。なかなか気の利いた“かわし方”である。

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 ついでのことに、「結婚しない理由」をめぐる名言も1つ紹介しておこう。
 
 「結婚しない理由? 男がいないのも困るけど、ずっといるのも困るからね」

 女優・桃井かおりの、いかにも彼女らしいハードボイルド・タッチの名言。
 “アネゴ系”のあなたが会社の後輩に「先輩、どうして結婚しないんですか?」と聞かれたときなどに、サラリと使ってみてください。

 もう一つオマケ。

「私は男でなくて幸せだ。もし男だったら、女と結婚しなければならないだろうから」

 スタール夫人(批評家・作家)の苦い名言である。

「妻の誇り」がにじむ名言

 メモです。後日カンナがけ。

岡本みね子(映画監督・岡本喜八夫人)
 プロデューサーとして夫を支えつづけた夫人は、夫の通夜の席でこう言った。
「今までずっと映画のことしか頭になかったから、最後の何カ月かは神様が2人で向き合うためにくれた時間だと思う。病気のおかげで新婚さんをしている気分でした」
 喜八が亡くなった日は、くしくも45回目の結婚記念日であった。
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湯浅あつ子(昭和期のタレント、ロイ・ジェームス夫人。三島由紀夫の『鏡子の家』のヒロインのモデルでもある)

 ロイの葬儀の席での名言
「私は、ロイの妻であったことを誇りに思っています」
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大川真理子(大川橋蔵夫人)
 葬儀の席での名言
「『僕のたった一つの宝石はお前だよ』と夫は言ってくれました。でも、生きていてくれるなら私は石ころでよかった」
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 岡本太郎と妻(戸籍上は養女)・敏子は、夫婦である以前に創作上のパートナーであった。たとえば、太郎の著作はいずれも敏子の手による口述筆記で生まれた。
 太郎の晩年、2人はこんな会話をかわしたという。

太郎「オレが岡本太郎でなくなったら、自殺するよ」
敏子「そのときは私が殺してあげますよ、だいじょうぶ」

 敏子は、「表現者としての岡本太郎」をこそ、誰よりも愛したのだった。
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 1993年11月、「手塚治虫記念館」の開館発表記者会見の席上、夫人の悦子はあいさつの中で次のように述べた。

「手塚が亡くなりまして、もう5年になります。この5年間、あまりに早く時間が過ぎますので、未練がましゅうございますが、こんなに早く過ぎるのなら、今日まで生きていてくれてもよかったのに、と思います」

女の名セリフMEMO

 自分用のメモです。
 なお、「女の名セリフ」シリーズは近く再開予定。

 「好きだからこそ結婚したくない。愛人ってそういう男のことよ」(ヴァネッサ・レッドグレイヴ/女優)

 「大事な男友達を失いたくなかったら、彼とは結婚しないことね」(フランソワーズ・サガン)
 ――「男女間に友情は成り立つか?」という大命題についての、一つの解答。

 「あんまり寒かったので、あやうく結婚しそうになったわ」(シェリー・ウインタース/女優)
 ――これは、五代目古今亭志ん生が枕に使った、「どうしてあんな男と一緒にいるのさ?」「だって、寒いんだもん」を彷彿とさせる言葉。シェリー・ウインタースが志ん生を知っていたとは思えないけど。

 「ハリウッドじゃ、スターの結婚より撮影のほうが長くつづくこともあるのよ」(バーブラ・ストライサンド)

 「男って歯みたい。生えるまでに時間がかかる。やっと生えると痛む。なくなってしまうとぽっかり穴があく」(フランソワーズ・ロゼー/フランスの女優)
 ――もちろん、「女って」に置き換えても可。

 「世の中のおしどり夫婦って、2人とも名優だというだけの場合もあるのよ」(ヴァネッサ・レッドグレイヴ)

 「結婚生活の秘訣、それはケンカのこつを心得ていること」(アニタ・エクバーグ/女優)
 ――ある精神科医が、「仲のいい夫婦とはケンカしない夫婦ではなく、ケンカしてもすぐに仲直りできる夫婦のこと」と語っておりました。

 「結婚生活の秘訣は、お互いどこかにひとり者の気分を残していること」(クラウディア・カルディナーレ/女優)

 「後悔は老いの合図」(ソフィア・ローレン)

 「私が正直になれるのは不倫のベッドのなかでだけ」(エリカ・ジョング/作家)

 「ろくでもない女が責任あるポストについてはじめて、男と女は対等になるのよ」(アガタ・カピーロ/イタリアの経済学者)

 「生涯を共にしたかったら、相手の男は中古にかぎるわ。一度しくじった男はいい夫になるわよ」(ジモーネ・ビーフェロン/ドイツのモデル)
 ――デヴィ夫人も、「最初の結婚なんてミステイクにきまってますもの」と言っておりました。

 「男たちがレディ・ファーストを考えついたのは、きっと階段をのぼるときね」(ジェーン・フォンダ)
 ――(笑)。

 「しわっていいな。私の勲章。だって私が生きてきたってことじゃない」(シャーリー・マクレーン/女優)
 ――この手のセリフで最高なのは、ローレン・バコールの「私のシワは努力して手に入れたものよ」。シャーリー・マクレーンの言葉はちと優等生的すぎる。

 以上、『私だって言ってみたい!/人生が楽になる女たちの名文句』(タニア・シュリー、フーベルトゥス・ラーベ編/平野卿子訳/講談社/2002年)より。

「秘密は女を女にするわ」(A secret makes a woman woman)/『名探偵コナン』のキャラクター、クリス・ヴィンヤード(ベルモット)の決めゼリフ。「女は秘密を着飾って美しくなる」というニュアンスか。

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Profile 

前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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●「mm(ミリメートル)」は、私のイニシャル「MM」のもじりです。

●私の大好きなギタリスト・渡辺香津美氏は、ご自身のイニシャル「KW」をもじった「KW(キロワット)」を、公式サイトのタイトルにしておられます(同名のアルバムもあり)。それにあやかったというわけです。

●あと、「1日に1ミリメートルずつでもいいから、前進しよう」という思いもこめられています(こじつけっぽいなあ)。

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