小田嶋隆『テレビ標本箱』

テレビ標本箱 テレビ標本箱
小田嶋 隆 (2006/11)
中央公論新社

この商品の詳細を見る

 小田嶋隆著『テレビ標本箱』(中公新書ラクレ/740円)読了。
 小田嶋氏が『ヨミウリ・ウイークリー』に連載しているテレビ批評コラム「ワイドシャッター」の書籍化である。

 ナンシー関の衣鉢を継ぐ、シニカルな観察眼が光るコラム芸の連打。対象者のウイークポイントを一言で斬る毒に満ちた人物評、笑える「レッテル貼り」芸……短いコラムの中に高度な文章テクが駆使されている。くわえて、良質なテレビ論としても読める。たとえば――。

 自力で新聞を読みこなせない層のためのテレビ版新聞ダイジェストをニュースショーと呼ぶのだとすれば、ワイドショーは、ニュース解説に読後感まで付け加えた一種の完パケ商品だ。「どう考えるか」のみならず「どう感じるか」までをすべて丸投げにした完全なおまかせニュース商品。
 たとえば「アッコにおまかせ!」では、文字通り和田アキ子という一人の代理オヤジに世界の解釈が丸ごと委ねられている。
     *  *  *
 今日も誰かが死ぬ。で、人々は、「喜怒哀楽」という、実生活の上で表現するにはリスクの大きすぎる不確定要素を、安全確実に処理すべく、リモコンのスイッチを入れる。
 結論:テレビは感情のソープランド。
     *  *  *
 堀江容疑者が出所したら、テレビは、ぜひ重用してほしい。彼の毒は、前科を得て本領を発揮するテのものだ。


 なお、小田嶋氏はイラストレーターとしても優れた才能をもつが、各コラムとも、連載時に添えられていた氏の似顔絵イラストがそのまま使われている。これも一見の価値あり。
関連記事

トラックバック

コメント

コメントを残す

Secret


Guide 

   →全記事インデックス

Profile 

前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

Counter 

メールフォーム

★私にご用の方はここからメールを下さい。

お名前
メールアドレス
件名
本文

最近の記事

マイ「神曲」ベスト100

カテゴリー

タイトルの由来

●「mm(ミリメートル)」は、私のイニシャル「MM」のもじりです。

●私の大好きなギタリスト・渡辺香津美氏は、ご自身のイニシャル「KW」をもじった「KW(キロワット)」を、公式サイトのタイトルにしておられます(同名のアルバムもあり)。それにあやかったというわけです。

●あと、「1日に1ミリメートルずつでもいいから、前進しよう」という思いもこめられています(こじつけっぽいなあ)。

Archives

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
本・雑誌
23位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
和書
19位
アクセスランキングを見る>>