石井裕之『人生を変える! 「心のブレーキ」の外し方』

「心のブレーキ」の外し方~仕事とプライベートに効く7つの心理セラピー~「心のブレーキ」の外し方~仕事とプライベートに効く7つの心理セラピー~
(2006/11/21)
石井 裕之

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 石井裕之著『人生を変える! 「心のブレーキ」の外し方 ~仕事とプライベートに効く7つの心理セラピー~』(フォレスト出版)読了。

 苫米地英人の本に頻出するホメオスタシスとコンフォート・ゾーンをめぐる理論をもう少し知りたいと思い、ネットで類書を検索したらひっかかった本。

 たしかに、主張の根幹は同じだ。

 我々の潜在意識には「現状維持メカニズム」(苫米地のいう「ホメオスタシス」)がある。人が自分を変え人生を変えようとするとき、それが「心のブレーキ」として作用してしまう。ゆえに、ほんとうに自分を変え人生を変えようとするなら、まずは潜在意識から変えなければならない。

 ……と、大要そのような主張のもと、潜在意識のありようを変えるコツを説いた本なのである。

 それはいいのだが、著者の説く「コツ」には根拠不明で非論理的なものが多く、全体に安手のスピリチュアル本のようなニオイが満ちていて、ウンザリ。とくに、後半はほとんどオカルトになってしまっている。
 私が知りたいのは、もっと科学的・論理的に潜在意識を変えるノウハウなのである。

 ただし、本書にも「なるほど」と納得のいく記述はいくつかあった。せっかく読んだのだから、それらを(わかりやすくリライト・要約したうえで)メモしておこう。

1.自動車を運転するときにはローギアから入るように、潜在意識を変えようとするときにも、最初の一歩はゆっくりと踏み出さねばならない。「最初の一歩にこそ、一番大きなエネルギーが必要」だからである。「潜在意識を、新しい自分に徐々に慣らしていく」ために、「スタートは、繰り返して、できるだけ丁寧にゆっくりとやる」ことが肝要。
 たとえば、ダイエットに成功するために潜在意識を変えたい場合、いきなり体重を激減させると、潜在意識が驚いて現状維持メカニズムを発動させてしまう。だから、「最初の成果は本当に目に見えないくらいにわずかなほうがいい」。

2.人の感情は放っておけばすぐに冷めてしまう。「自分を変えるために○○する!」というやる気もしかり。だから、モチベーションを持続・定着させるには、その感情をすぐ行動に変えることが必要だ。感情を行動に置き換えることこそ、感情を定着させる唯一の方法である。

3.潜在意識は、意識が考えるのをやめてしまったあとでも、ずっと答えを求めつづける。けっして答えの出ない問い(「どうして何をやってもうまくいかないんだろう?」などのたぐい)を心に抱くと、潜在意識は答えを探しつづけ、せっかくのパワーを自己破壊的に用いてしまうことになる。
 ゆえに、「問題解決のため(あるいは目標達成のため)に、いま私にできることはなんだろう?」というふうに、具体的で答えの出やすい方向で考えるクセをつけるとよい。

4.「なりたい自分」に向けて潜在意識を変えるために、「私は大富豪だ!」というふうに自分にウソをつく必要はない。ウソをついても、「でも、ほんとうはそうじゃないんだよな」と現状との落差に意識が向いてしまい、本気でそう思い込むことは至難である。
 だから、自分にウソをつくのではなく、自分にハッタリをかますようにする。つまり、理想の自分を心の中で「演じる」のだ。このことを著者は、"Fake it ! Until you make it !"という言葉で表現している。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。56歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴32年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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●「mm(ミリメートル)」は、私のイニシャル「MM」のもじりです。

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●あと、「1日に1ミリメートルずつでもいいから、前進しよう」という思いもこめられています(こじつけっぽいなあ)。

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