ブラック企業に負けない (2011/09/26) NPO法人 POSSE、今野 晴貴 他 商品詳細を見る |
今野晴貴・川村遼平著『ブラック企業に負けない』(旬報社/987円)読了。
若者の「働くこと」に関するさまざまな問題に取り組むNPO法人「POSSE」の代表と事務局長である著者たちが、いわゆる「ブラック企業」への対処術を、豊富な相談経験をふまえて教える本。
うちのムスメがまさに今月から就活を始めたところなので、この手の本が気になっていろいろ手を伸ばしている。
『週刊ダイヤモンド』の先週号の特集が「今、入るべき会社――就活親子の大誤解」というものだったので、これも思わず買ってしまった。この特集の中にも、「負け組にならない! ブラック企業の内情と見分け方」なる記事があった(笑)。
本書は正味100ページほどの薄いムックだが、じつに手際よくまとまっていて有益な本だった。ブラック企業とはいかなるものか、もしそういう会社に入社してしまったらどのように(法的に)戦えばよいのかを、過不足なく伝える内容なのである。
とくに、最後の章「ブラック企業発生の背景」は、なぜ急にブラック企業が増え、社会問題化しているのかの理由を解き明かして、目からウロコだった。
また、前半に紹介される、ブラック企業のやり口の事例――狙い定めた若手社員を辞めさせるために人格を破壊し、うつ病になるまで追い込む――はすさまじい。怒りを覚える以前に笑ってしまうほど。まるで、キューブリックの『フルメタル・ジャケット』に出てくる鬼軍曹みたいなのだ。
で、「やっぱり公務員がいちばんかなあ」とか身も蓋もないことを考えたりするのだが、それはそれでクレーマー市民への対応が大変らしいしなあ……。
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「フルメタル・ジャケット」の新兵しごきのシークェンスは、たしかにブラック企業の洗脳に近いものがありますね。
> 上の世代の経営者は人を大事にしていたのか、昔と何が違うのか不思議に思います。
学校の体罰や女生徒へのセクハラは昔のほうがひどかったように、昔だってブラック企業にカテゴライズされる会社はたくさんあったと思います。
ただ、経済状況が悪化して、社員たちへの分け前として与えられるパイが小さくなったぶん、いまのほうがひどいように感じるのでしょうね。昔は、社員への奴隷的扱いはあっても、ハケン的な使い捨てはなかったし。