麻生香太郎『誰がJ-POPを救えるか?』


誰がJ-POPを救えるか?  マスコミが語れない業界盛衰記誰がJ-POPを救えるか? マスコミが語れない業界盛衰記
(2013/01/22)
麻生 香太郎

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 麻生香太郎著『誰がJ-POPを救えるか?――マスコミが語れない業界盛衰記』(朝日新聞出版/1575円)読了。

 昔『日経エンタテインメント!』を毎号買っていた時期があって、著者の名はそこで知った。巻末の連載コラムを持つなど、同誌のメインライターだったからである。
 「エンタメ業界全般にやたらとくわしい人だな」という印象を抱いたが、元作詞家だということは本書を読んで初めて知った。

 作詞家からエンタテインメント・ジャーナリストに転じた著者は、J-POPの歴史を肌で知る生き証人であり、本書のような本を書くのにうってつけといえる。

 つい20年ほど前まではミリオンセラー・アルバムが連発され、一世を風靡したJ-POPの世界が、いまや惨憺たる状況にある。
 そうした苦境を招いた要因は何なのかを、本書をはさまざまな角度から解き明かしていく。過去数十年の業界盛衰史をふまえ、当事者たちの証言をちりばめて……。
 章立ては以下のようになっている。

第一章 ソニーがJ-POPを殺した
第二章 韓流がJ-POPを殺した
第三章 つんくがJ-POPを殺した
第四章 音楽著作権がJーPOPを殺した
第五章 歌番組がJ-POPを殺した
第六章 圧縮技術がJーPOPを殺した
第七章 スマホがJーPOPを殺した
第八章 世界の不況がJ-POPを殺した
第九章 マスコミがなくなる、がJ-POPを殺した
第十章 平成10年代生まれがJーPOPを救う



 この章立てが示すとおり、書名こそ『誰がJ-POPを救えるか?』だが、実質上は「誰がJ-POPを殺したか?」が分析されている本だ。

 書名に沿った内容なのは終章の「平成10年代生まれがJーPOPを救う」だけだが、この章がなんともスッカスカ。“従来の常識にとらわれない平成10年代生まれが、何か新しい突破口を探してくれるのではないか”という無根拠な期待が語られるだけなのだ。
 要は、この書名にするために無理やりつけた蛇足でしかない。

 ま、いまもエンタメ業界に身を置く著者としては、ストレートに「もうJ-POPは滅びるだけだ」と主張する本にはしづらかったのだろう。
 そのへんの中途半端さといい、フィクション仕立てにして逃げを打っている(人物名の多くが仮名)点といい、腰の引けた感じが読んでいて不快だった。

 とはいえ、JーPOP凋落の要因についての分析はどれも得心のいくものだし、目からウロコのトピックもちりばめられていて、音楽好きなら一読の価値はある。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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●「mm(ミリメートル)」は、私のイニシャル「MM」のもじりです。

●私の大好きなギタリスト・渡辺香津美氏は、ご自身のイニシャル「KW」をもじった「KW(キロワット)」を、公式サイトのタイトルにしておられます(同名のアルバムもあり)。それにあやかったというわけです。

●あと、「1日に1ミリメートルずつでもいいから、前進しよう」という思いもこめられています(こじつけっぽいなあ)。

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