『ピーター・バラカンのわが青春のサウンドトラック』


ピーター・バラカンのわが青春のサウンドトラック: Once Upon A Time In England... (光文社知恵の森文庫)ピーター・バラカンのわが青春のサウンドトラック: Once Upon A Time In England... (光文社知恵の森文庫)
(2013/10/08)
ピーター・バラカン



 昨日は大田区大森で、中小企業「金森製作所」の金森茂社長を取材。
 金森さんの波瀾万丈の半生を描いた『大森蒲田の元気工場』(関晴夫著/かんき出版)などを読んで臨む。

 元請けの大企業が理不尽な仕打ちをしてきたとき(よくあることらしい)、泣き寝入りせずに徹底抗戦する金森さんの姿勢は、まことに痛快。下請けイジメに苦しむ中小・零細企業経営者の希望の星ともいうべき人物である。

 金森さんの半生と経営者としての歩みをドラマ化したら、『半沢直樹』の町工場版のようなドラマにできるのではないか、と思った(誰か作りませんか?)。


 行き帰りの電車で、ピーター・バラカン著『ピーター・バラカンのわが青春のサウンドトラック――Once Upon A Time In England...』(光文社知恵の森文庫/693円)を読了。

 前から気になっていた本で、文庫化されたのを機に読んでみた。
 「サウンドトラック」といっても映画音楽の話ではない。ピーター・バラカンが少年期・青春期をすごしたロンドンでの日々を、当時愛聴していた音楽の話を軸に振り返った自伝的エッセイである。青春を彩った音楽をサウンドトラックに見立てているわけだ。

 バラカンは自分でも日本語のうまい文章が書ける人だが、本書は音楽ライターの若月眞人が取材・構成するスタイルをとっている。

 バラカンが青春をすごした1960年代~70年代初頭のロンドンといえば、まさにロック黄金時代のロックの中心地。ゆえに、彼の青春を音楽からたどることは、そのままロック黄金期の息吹をヴィヴィッドに伝えることになる(ただし、ロックにかぎらず、ブラック・ミュージックやジャズなども取り上げている)。

 12歳のときに生まれて初めてのコンサートでビートルズを観た感激や、デビュー直後のジミヘンのライヴを観た衝撃など、綴られる思い出の一つひとつがロック史の貴重な証言となっている。

 しかも、キンクスのレイ・デイヴィスの当時の恋人が友人のお姉さんだったとか(後年、バラカンがレイにインタビューしたときにその話をしたら、彼女のことを覚えていなかったとかw)、フェアポート・コンベンションのドラムスが高校の先輩だったとか、バラカンが当時のロックシーンと直接のつながりをもっていたことも明かされる。
 ロックファンの一人としてはまことにうらやましい、ゴージャスな少年期・青春期である。

 バラカンの音楽の好みは、私とかなり違う。たとえば、彼はプログレは苦手だというし、イーグルスについてはファースト、セカンドは好きだったがサードの『オン・ザ・ボーダー』で興味を失ったという。私はプログレが好きだし、イーグルスは逆にサード以降が好きだ。

 そうした好みの違いゆえ、取り上げられた名盤(本書は名盤ガイドとしても読める)の評価に首をかしげる点もある。それでも、評価の相違点についても「へえ、そんな見方もあるのか」と楽しめる本だ。
 何より、音楽に対するあふれんばかりの愛情が全編に流れていて、読んでいてあたたかい気持ちになる(これはバラカンの著書に共通する特長)。

■関連エントリ→ ピーター・バラカン『ピーター・バラカン音楽日記』レビュー

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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