未来への再会 (2013/09/25) ラリー・コリエル &アルフォンス・ムザーン 商品詳細を見る |
ラリー・コリエル&アルフォンス・ムザーンの『未来への再会』(ワーナー・ミュージックジャパン/1000円)を購入、ヘビロ中。
前から欲しかったアルバムだが、高値のついた輸入盤しか流通していなくて、手が出なかったもの。ワーナーの「ジャズ・ベスト・コレクション1000」という廉価シリーズで復刻されたのを知って、即ゲット。日本初CD化だそうだ。
不気味カワイイ感じのジャケットは、ハンプティ・ダンプティのパロディらしい。
大御所ラリー・コリエルは、アコースティック路線の端正なジャズ・アルバムを数多く発表してきた一方、1973~76年の短期間のみ存在したバンド「イレヴンス・ハウス」などで、ハードなジャズ・ロックを追求してきた。
このアルバムは、「イレヴンス・ハウス」のドラムスだったムザーンと再びタッグを組み、1977年に発表された作品。当然、超テクニカルでハードエッジなジャズ・ロックアルバムになっている。
コリエルのほかに、フィリップ・カテリーンというギタリスト(録音当時はフォーカスにヤン・アッカーマンの後釜として加入していた人)が参加しており、2人の熱いギター・バトルも聴きどころになっている。
「これはマハヴィシュヌ・オーケストラのアッパー版だなあ」という印象を受けた。
マハヴィシュヌの場合、ジョン・マクラフリンのギターとビリー・コブハムのドラムスが二枚看板で、『内に秘めた炎』などのアルバムでは、2人の人間業とは思えぬ超絶テクが披露されていた。
そこまでは本アルバムと共通なのだが、音の雰囲気はまったく正反対。
マハヴィシュヌの音には、宗教的・哲学的・内省的な側面が強かった。一言で言えば「ダウナーなジャズ・ロック」だったのだ。
対照的に、本作は徹頭徹尾アッパーで能天気。「クスリでもキメてレコーディングしたんじゃないか」と思わせるほど、バカ陽気なジャズ・ロックなのである。
全編にみなぎる性急感と高揚感がすごい。
とくに、「トランスヴェステッド・エクスプレス」と「結晶の証(Crystalization)」の2曲では、LP時代なら「あれ、回転数間違えたかな?」と思ったであろうほど、すさまじいスピードと手数の演奏が聴ける。
↑「トランスヴェステッド・エクスプレス」。これはフィリップ・カテリーンが書いた曲。
ジャズ・ファンよりも、ふだんメタル系ばかり聴いているロック・ファンに受け入れられそうな、かなりロック寄りのジャズ・ロック。
曲は粒揃いだし、かなりの傑作だと思う。
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