『バンド名由来事典』


バンド名由来事典 (CROSSBEAT Presents)バンド名由来事典 (CROSSBEAT Presents)
(2013/12/26)


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 『バンド名由来事典』(シンコーミュージック・エンタテインメント/1050円)読了。

 編著者名が明記されていないが、タイトルに「CROSSBEAT Presents」と冠されているので、昨年休刊してしまった洋楽誌『クロスビート』編集部の「編」ということなのだろう。

 こういう事典は日本にはありそうでなかったので、1冊くらいはあってもいい。しかし、正味130ページ程度と分量も少なく、代表的なバンドが網羅されているわけでもないので、物足りない。
 本で出すより、誰か好事家が趣味としてネット上でやるべきことなのだろうな。
 ちなみに、日本のバンドについてはネット上に「バンド名の由来辞典」というサイトがあるが、本書は洋楽誌から生まれた本なので、洋楽ロックバンドに対象を絞っている。

 メンバー自らがバンド名の由来を語った言葉ばかりを集めているのが、本書の特徴だ。
 この特徴は、長所でもあれば短所でもある。第三者の語るウワサが混入していない点は長所。バンド名の由来にはいくつかの説がある場合も多いのに、そのうち一つしか紹介されない点が短所。
 
 たとえば、イエスの由来についてはピーター・バンクス(初代ギタリスト)の言葉が紹介されている。
 バンクスは、「チラシに出演者の名前を載せる時、名前の文字数が少なければ少ないほど大きく印刷してもらえるから」3文字のバンド名を選んだ、と身もフタもない理由を語っている(笑)。
 しかし、私は以前、バンドのフロントマンであるジョン・アンダーソンが「イエスとは肯定の言葉だ。だから私たちはバンド名にしたんだ」と語っているのを読んだことがある。こちらのほうがずっともっともらしい。

 また、U2は"you, too"のもじりだと聞いた覚えがあるが、本書のU2の欄にはそんな話は出てこない。
 ことほどさように、バンド名の由来にはあいまいさが伴うのだ(そもそも、ミュージシャンがインタビューによって答えを変えてしまう場合もある。ばんたび同じ質問をされてウンザリするからだろう)。

 まあ、中には面白い話も出てくるから、洋楽好きなら一時間くらいは楽しめる本である。たとえば――。

 キッスは当初、ジーン・シモンズの発案で「ファック」という名前になりかかったという。
 ポール・スタンレーが「冗談じゃない。ロックを聴いてるのはティーンエイジャーなんだぜ」と反対し、妥協案としてキッスになったとか(笑)。

 ところで、最近の日本のバンドには日本語のユニークなバンド名をつけた例が多いが(「ゲスの極み乙女」とか「赤い公園」とか)、私はこういう傾向を喜ばしいと思う。
 昔の日本のバンドの多くが英語の名前にしたのは本場の洋楽ロックへのコンプレックスゆえだったわけで、いまの若い世代はやっとそのコンプレックスから解放されたのだろう。

■関連エントリ→ 『バンド臨終図巻』レビュー

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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