なべおさみ『やくざと芸能と』


やくざと芸能と 私の愛した日本人やくざと芸能と 私の愛した日本人
(2014/05/09)
なべおさみ

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 なべおさみ著『やくざと芸能と――私の愛した日本人』(イースト・プレス/1836円)読了。

 ベテラン俳優/コメディアンの自伝エッセイ。タイトルにあるとおり、若き日からのヤクザたちとのつきあいがかなりの紙数で書かれている。
 渋谷の不良少年時代、伝説のヤクザ・花形敬(安藤組)と出会い、「お前はヤクザには向いていないから大学に行け」と言われて明治大学に進んだ、というエピソードなどである。

 ほかにも、田岡一雄、菅谷政雄、司忍、波谷守之といった有名ヤクザが登場する。
 いまはどんな大物芸能人もヤクザとの交友をひた隠しにする時代なのに、この本の赤裸々さはスゴイ。

 芸能関係の話では、なべおさみ自身が付き人をしていた水原弘や勝新太郎、そしてその2人と親しかった石原裕次郎、美空ひばりのエピソードが面白い。

 水原と勝新は、競うように夜ごと豪遊し、金を湯水のように使う。水原が1ヶ月かけて京都で映画の撮影をしたとき、ギャラが80万円なのに飲み屋のツケは120万円にのぼったという。いまなら1000万円くらい使った感覚だろうか。

 政治家がらみの話もたくさん登場する。実質的には『やくざと芸能と政治家』という感じの内容なのだ。
 中でも出色なのが、鈴木宗男の選挙応援に駆り出されたときのエピソード。

 なべおさみは応援のため道内を車で奔走するのだが、その車に白い綿パンをたくさん積み込んでいた。応援のたびに新しい綿パンに履き替え、有権者たちの前で土下座して頼み込むと、白い綿パンがドロドロに汚れ、強烈な印象を与えるのだという。
 宗男は自らもすぐにそれを取り入れ、白い綿パンでの土下座をくり返して支持者を増やしていくのだった。

 ただ、面白いエピソードは多いものの、文章が非常に読みにくい。説明不足で、読者が推察して足りない言葉を脳内補完しなければ理解できない部分が多すぎる。
 プロのライターをゴーストにしていたらこんな文章にはならないはずで、きっと本人が書いたのだと思う。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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