黒船『CROSSOVER』


CROSSOVERCROSSOVER
(2014/09/07)
黒船

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 黒船のファースト・アルバム『CROSSOVER』(ピースオブケイク/2700円)を購入。ヘビロ中。

 黒船は、「TRI4TH」(トライフォース)のメンバーであるベーシスト・ 関谷友貴を中心としたバンド。
 奄美の歌姫・里アンナをヴォーカルに据え、リードギターの代わりに津軽三味線の白藤ひかりを迎えた、ユニークな編成のクロスオーバー・ジャズ・バンドである。

 YouTubeで偶然このアルバムのリード曲「豊年節」のMVを観て、カッコよさにノックアウトされ、アルバムを買ってみたしだい。



 民謡とコンテンポラリー・ジャズの見事な融合。里アンナの伸びやかな歌声が素晴らしいし、間奏のベース・ソロから三味線ソロ(!)へとつなぐ流れは絶品で、背筋がゾクゾク。これぞクールジャパンである。

 和楽器を一部に用いたフュージョンといえば、昔の「ヒロシマ」とか横倉裕のアルバムがあったし、三味線の吉田兄弟のアルバムにもフュージョン的色彩がある。つまり、それだけならさして独創的ではないのだ。

 しかし、黒船の場合は和楽器フュージョンの上に里アンナのヴォーカルが乗ることで、さらに重層的なケミストリーが生じている。
 同じ奄美出身のシンガーである元ちとせより、個人的には里アンナのヴォーカルのほうが好みだ。

 時を同じくして、和楽器でボカロ・カバーをやった「和楽器バンド」も今年登場した。
 私は和楽器バンドのファーストも気に入ったが(こっちはレンタルで聴いた)、比べてみれば黒船のほうが本格的でイロモノ臭がなく、海外でも評価されそう。

 「豊年節」と同じく奄美島唄を取り上げた「六調」もよい。
 また、何曲かあるヴォカリーズ(スキャット)・ナンバーもよい。とくに、ハービー・ハンコックの「アクチュアル・プルーフ」は、疾走感あふれる演奏に里アンナのヴォカリーズが色を添え、見事な出来栄えだ。
 
 全曲ヴォーカル入りにすればよいものを、余計なインスト・ナンバーも入っていて、それらはイマイチ。
 いや、演奏はうまいし、けっして悪くはない。ただ、普通の和風コンテンポラリー・ジャズであって、「うーん、なにも黒船のアルバムでやらなくても……」という気がしてしまうのだ。

 次作はぜひ、全曲ヴォーカル入りの島唄カヴァーで作ってほしい。

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  • 2015-05-31│12:04 |
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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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