井山大今『井山大今』『井山大今Ⅱ』


井山大今 II井山大今 II
(2013/09/06)
山木秀夫、高水“大仏”健司&今剛) 井山大今(井上鑑 他

商品詳細を見る


 井山大今(いのやまだいこん)の『井山大今』『井山大今Ⅱ』(shiosai ZiZO Label)を聴いた。

 井山大今は、井上鑑・山木秀夫・高水健司・今剛という日本のファーストコール・ミュージシャン4人が結成したスーパーグループ。
 「大」に当たる苗字をもつ人がいないではないか、と思うだろうが、「大」は高水健司のニックネーム「大仏」に由来する。

 4人とも好きなミュージシャンなので、2011年のファースト・アルバム発表時から気になっていたのだが、やっと聴くことができた。
 
 当然ファーストから聴いたわけだが、こちらは思っていたよりもお上品なフュージョンで、最初聴いたときの印象はあまりよくなかった。
 レーベル側の売り文句に「弾き惜しみ、叩き惜しみなど一切無い真剣勝負を展開」とあったものだから、超絶技巧の応酬が火花を散らすハイパーテクニカル・フュージョンを期待してしまったのである。

 聴いてみたら、むしろ既存のバンドではピラミッドとかに近い感じのスムースジャズ的サウンドで、拍子抜け。
 ただ、中にはハードな曲もある。また、おとなしめの曲も、聴き込むうちに細部のこだわりが見えてきて、凡百の毒にも薬にもならないフュージョンとは格が違うことがわかってくる。日本最高レベルのゴージャスなフュージョンである。

 そして、2013年発表の『井山大今 II』だが……、こ、これはスゴイ!
 全6曲でトータルプレイングタイムが約38分というのはいまどき短すぎる気もするが、2曲目から5曲目まで――「Stravinspeeding」「Heavy Snow」「Have A Cake」「Champagne Rugby」とつづくシークェンス――の密度がものすごく、この4曲を聴くだけでおなかいっぱいになる。

 その4曲はいずれも、ハードエッジなハイパーテクニカル・フュージョン、もしくはジャズ・ロックである。しかも、曲も演奏も、世界のどこにも出しても誇れるレベル。「そうそう、こういうのが聴きたかったんだよ!」と、ひとり快哉を叫んだ。

 とりわけ素晴らしいのが、今剛のギターである。
 4曲とも、ギターをバリバリ弾きまくり。「若手の速弾きギタリストには負けないぜ」とばかり、テクニックを全開。これほど弾きまくりの今剛は珍しいのでは? 「ギター小僧必聴」という感じだ。

 オープニングのスローな耽美的フュージョン「Klein Blue」と、ラストの「Speech Balloon」は、いらなかった気がする。この2曲の代わりに、中間の4曲のようなハードな曲をあと2、3曲詰め込んだら、歴史的名盤になったのに……。

 「Speech Balloon」は、大滝詠一のミリオンセラー『A LONG VACATION』に入っていた曲のインストによるカバー。
 井上鑑が大滝を師と仰いでいることは知っているが、このアルバムにこの曲は必要なかった。前の4曲でピンと張りつめた空気が、気の抜けたスムースジャズという感じのこの曲のせいで、一気に弛緩してしまう。ここだけ完全に浮いているのだ。

関連記事

トラックバック

コメント

コメントを残す

Secret


Guide 

   →全記事インデックス

Profile 

前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

Counter 

メールフォーム

★私にご用の方はここからメールを下さい。

お名前
メールアドレス
件名
本文

最近の記事

マイ「神曲」ベスト100

カテゴリー

タイトルの由来

●「mm(ミリメートル)」は、私のイニシャル「MM」のもじりです。

●私の大好きなギタリスト・渡辺香津美氏は、ご自身のイニシャル「KW」をもじった「KW(キロワット)」を、公式サイトのタイトルにしておられます(同名のアルバムもあり)。それにあやかったというわけです。

●あと、「1日に1ミリメートルずつでもいいから、前進しよう」という思いもこめられています(こじつけっぽいなあ)。

Archives

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
本・雑誌
21位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
和書
17位
アクセスランキングを見る>>