クラーク・ストランド『SGIと世界宗教の誕生』


SGIと世界宗教の誕生―アメリカ人ジャーナリストが見た創価学会SGIと世界宗教の誕生―アメリカ人ジャーナリストが見た創価学会
(2011/01)
クラーク ストランド

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 クラーク・ストランド著、今井真理子訳『SGIと世界宗教の誕生――アメリカ人ジャーナリストが見た創価学会』(第三文明社/1290円)読了。

 2011年の刊行時に買って以来、積ん読しておいたもの。必要があって読んでみたら、大変よい本だった。

 著者は米国の仏教誌『トライシクル』の元編集長で、宗教ジャーナリスト。米国におけるさまざまな仏教運動のうち、とくにSGI(創価学会インタナショナル)の活動に関心を抱き、継続的に取材してきた。
 アメリカSGIの幹部やメンバーを取材するのはもちろん、来日して日本の会員や、会長をはじめとする幹部たちにも取材を重ねてきた。

 そうした取材の集大成として、新たな世界宗教としてのSGIを考察したのが本書なのだ。
 著者は、創価学会の“世界宗教性”は牧口初代会長の思想にすでに胚胎されていた、と見ている。

 宗教学者や宗教ジャーナリストが研究・取材対象として教団に接するとき、不可欠なのが「共感的デタッチメント」(共感しつつも一定の距離を置くこと)だと言われる。その点、著者はいささかSGIに近づきすぎている気がしないでもない。

 が、それはさておき、著者のSGI評価にはアメリカ人ならではの視点がちりばめられており、ハッとする指摘が多い。
 たとえば、創価学会の活動の大きな特徴である座談会中心のスタイルが、他の宗教団体や既成仏教団体には見られない革命的なものであった、との指摘。

 いわく、多くの現代人は宗教と生活を「まったく別個のものとして捉えている」のに対し、「牧口初代会長は、この溝を埋めようと『座談会』の伝統を打ち立てた」。座談会は「平等の精神に基づいた民主的な集いであり」、聖職者が信者に説法・説教する従来の礼拝形式とは根本的に異なる、と……。

 座談会は、仏教における新しい信仰形式というだけでなく、宗教全体に新たな信仰実践のあり方を示している。



 それ(座談会方式)は、寺院と檀家を中心とする古い宗教パラダイムを離れる決定的な一歩であった。



 また、SGIにとって重要な「師弟」の概念が、アメリカなどの西洋社会では非常に誤解されやすい、という指摘も興味深い。

 創価学会の文化が、西洋で誤解されてしまう最大の原因も、また「師弟」である。(中略)「弟子」という言葉を宗教に関して使う場合、たいてい否定的な意味になる。(中略)アメリカ人にとって「弟子になること」は、個人としての人格や意志を奪われる精神的な危険を伴う行為なのだ。



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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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