『アート・オブ・マッカートニー~ポールへ捧ぐ』


アート・オブ・マッカートニー~ポールへ捧ぐアート・オブ・マッカートニー~ポールへ捧ぐ
(2014/12/10)
オムニバス、ジェフ・リン 他

商品詳細を見る


 『アート・オブ・マッカートニー~ポールへ捧ぐ』(ユニバーサルミュージック)を聴いた。

 ボブ・ディラン、ビリー・ジョエルなど、超豪華アーティストを集めたポール・マッカートニーのトリビュート・アルバム。2枚組で、総勢32組が計35曲(日本盤ボーナストラックの井上陽水「アイ・ウィル」を含め)のポール作品をカバーしている。
 選曲は、ビートルズ・ナンバーとソロ~ウイングス時代の曲が、おおむね半々の割合。

 ポール作品に絞った本格的トリビュート・アルバムは初めてだが、ビートルズのカバー集はこれまでにも山ほどあるわけで、それらと比べると物足りない。
 アーティストの顔ぶれはこれ以上ないほど豪華だが、内容がいかにもやっつけ仕事なのである。ほぼすべての曲が原曲に忠実すぎるアレンジで、「おお、あの曲をこんな斬新な切り口で……!」という驚きが微塵もない。選曲も、「イエスタデイ」「レット・イット・ビー」「ヘイ・ジュード」など、ド定番ばかり多すぎてヒネリが足りない。

 アマゾンのカスタマーレビューに「豪華なカラオケパーティを聴かされている気分になりました」という一言があって、「言えてる!」と思った。

 アリス・クーパーが「エリノア・リグビー」をカバーしているので、「お、原曲をグチャグチャに換骨奪胎したハードロック・バージョンかな」と期待したら、あまりに原曲そのまんまだったのでガッカリ。あのアリス・クーパーが演る必然性がまったく感じられない。

 あと、ビリー・ジョエルのヴォーカルの劣化具合に、ちょっと無残な印象を受けた。ただの耳障りなガナリ声になってしまっている。ビリーが歌う「恋することのもどかしさ」(メイビー・アイム・アメイズド)と「007/死ぬのは奴らだ」はそれぞれディスク1、2のオープニング曲になっていて、本作の目玉アーティストなのに。

 ……と、ケチをつけてしまったが、それでも聴いているとけっこう楽しめる。曲自体がどれも素晴らしいからだ。

 とくに、スティーヴ・ミラーによる「ジュニアズ・ファーム」、ハートによる「ワインカラーの少女」、キッスによる「ヴィーナス・アンド・マース~ロック・ショー」は、なかなかの仕上がり。
 ハートもキッスも演奏は提供しておらず(演奏はポールのバックバンドの面々)、それこそ「カラオケパーティ」でしかないのだけれど……。

 ちなみに、ビートルズのカバー集なら、私は映画『アクロス・ザ・ユニバース』のサントラや『アイ・アム・サム』のサントラが好きだ。

■関連エントリ→ 『アクロス・ザ・ユニバース』(サントラ)レビュー

関連記事

トラックバック

コメント

コメントを残す

Secret


Guide 

   →全記事インデックス

Profile 

前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

Counter 

メールフォーム

★私にご用の方はここからメールを下さい。

お名前
メールアドレス
件名
本文

最近の記事

マイ「神曲」ベスト100

カテゴリー

タイトルの由来

●「mm(ミリメートル)」は、私のイニシャル「MM」のもじりです。

●私の大好きなギタリスト・渡辺香津美氏は、ご自身のイニシャル「KW」をもじった「KW(キロワット)」を、公式サイトのタイトルにしておられます(同名のアルバムもあり)。それにあやかったというわけです。

●あと、「1日に1ミリメートルずつでもいいから、前進しよう」という思いもこめられています(こじつけっぽいなあ)。

Archives

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
本・雑誌
21位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
和書
17位
アクセスランキングを見る>>