鈴木宏昌『ロック・ジョイント琵琶~組曲 ふることふみ』ほか



 鈴木宏昌の『ロック・ジョイント琵琶~組曲 ふることふみ』『ロック・ジョイント・シタール~組曲 シルクロード 』を聴いた。
 1972年から73年にかけて作られた、「ロック・ジョイント」シリーズの2作品である。

 「コルゲン」こと鈴木宏昌は、一般にはTVアニメ『海のトリトン』の音楽を担当したことで知られている。
 『海のトリトン』の劇伴は素晴らしいもので、いま聴いても十分大人の鑑賞に堪える見事なジャズ作品になっている。

 しかし、それ以外の鈴木の仕事は意外に知られていない。彼が率いた渋いフュージョン・バンド「ザ・プレイヤーズ」のアルバムの大半は、中古ですごい高値がついていて入手困難だし。

 そして、「ザ・プレイヤーズ」以上に知られていないのが、1970年代前半に鈴木が手がけた、一連の先鋭的なジャズ・ロック作品。その代表格が、この「ロック・ジョイント」シリーズ2作品である。
 まあ、私自身もアルバムを丸ごと聴いたのは今回が初めてなのだが……。

 『ロック・ジョイント琵琶~組曲 ふることふみ』は、『古事記』(「ふることふみ」とも読む)をテーマにしたコンセプト・アルバム。ピアノ/ベース/ドラムスのジャズ・トリオを主体に、ギターとホーン類、ストリングスが加わり、琵琶と和太鼓がアクセントをつける。まさに「和のジャズ・ロック」だ。

 タイトルの印象からは琵琶が主役のように思えるが、じつは脇役程度の使われ方である。

 杉本喜代志によるギターがすごい。時にジョン・マクラフリンやジミヘンを彷彿させるほどアグレッシブなのだ。
 アルバム中に何曲かあるハード・チューンは、同時期に登場したマハヴィシュヌ・オーケストラに対する日本からの回答とも思える。

 とはいえ、全体的にはロック色はそれほど濃くはなく、むしろ本格的ジャズアルバムとして優れている。企画から受ける印象ほどキワモノではないのだ。



 もう一枚の『ロック・ジョイント・シタール~組曲 シルクロード 』は、タイトルのとおり、琵琶に代わってシタールが用いられている(やはり、シタールの用い方はアクセント程度)。こちらはギターもいないので、『組曲 ふることふみ』よりもさらにジャズ色が濃い。

 『ロック・ジョイント』というわりにロック色は意外に薄く、その点ではやや肩透かし。とはいえ、硬質なリリシズムに満ちた骨太なジャズとして、普通に聴き応えがある。
 とくに、関根英雄のドラムスは強烈。オープニング・ナンバー「シルクロード」での速射砲のようなドラミングは、ビリー・コブハムばりだ。



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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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