5X『HUMAN TARGET』



 私にとっての懐メロ・シリーズの続き。今日は、5Xの『HUMAN TARGET』を再聴。

 5X(ファイブエックス)は、カルメン・マキが1980年代初頭にやっていたハードロック・バンド。
 バンド名の「5X」とは、射撃練習に使う「人間標的(HUMAN TARGET)」の、心臓部分に書かれた表示のこと。つまり、「撃たれたら死ぬしかない急所」の意だ。

 カルメン・マキのロック・ヴォーカリストとしてのピークがどこにあったのかは、評価が分かれるところ。「マキオズ」――「カルメン・マキ&OZ」時代をピークと見る向きも多いことだろう。

 私も、マキオズの「私は風」は日本ロック史上に残る名曲だと思う。しかし、マキオズのアルバム全体をいま聴くと、歌謡曲的要素がけっこう強くて鼻白んでしまうのだ。
 
 私が思うカルメン・マキのピークは、5X時代だ。
 とくにこの『HUMAN TARGET』(1982年)は、贅肉を削ぎ落したソリッドでパワフルなハードロックで、素晴らしい。

 オープニングの「Movin' On」から2曲目の「悪い夢」へと続くシークェンスなど、もう鳥肌ものである。



 とくに、「悪い夢」は名曲。
 マキ自身がどん底から這い上がった経験(ドラッグによる逮捕からの復活)を反映した歌詞を、魂込めて歌い上げて感動的だ。

 「悪い夢よ さよなら 翼はまだ 折れちゃいないさ」「落ちるところまで 落ちたんだから あとはもう 上がるしかないぜ」……などという歌詞が、心にビンビン響く。

 聴いていてこれほど「アガる」ロック・ナンバーも珍しい。
 私にとっては、ストラングラーズの「タンク」、サンハウスの「カラカラ」、バウワウの「Electric Power Up」、トム・ロビンソン・バンドの「パワー・イン・ザ・ダークネス」、遠藤賢司の「東京ワッショイ」などと並ぶ「アガるロック」なのである。

 マキ姐さん、またこういうストレートなハードロックを演ってくれないものか。 


↑5X時代のライヴ映像見っけ! テレビ神奈川の『ファイティング80's』出演時のもので、「悪い夢」も演ってる。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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