呉智英・宮崎哲弥『知的唯仏論』



 呉智英・宮崎哲弥著『知的唯仏論』(サンガ/1728円)読了。
 発刊されてすぐに購入し、ずっと積ん読しておいたもの。読んでみたら大変面白かった。

 呉智英は、評論家として宮崎哲弥の師匠筋にあたる。師弟対談集である。
 2人は1999年にも、『放談の王道』という対談集を編んでいる。これは非常に充実した素晴らしい対談集で、私はいまでもたまに引っ張り出してきて拾い読みする。
 
 『放談の王道』が広範なテーマを扱っていたのに対し、本書はずばり仏教がテーマだ。
 呉が好著『つぎはぎ仏教入門』(2011年)を上梓したことが、本書のきっかけになったのだろう。「まえがき」に言うとおり、「仏教の外部にいて、しかも仏教を高く評価する非信者」(呉)と、「仏教の内部にいながら特定の宗派・教団に属していない仏教徒」(宮崎)の対談なのだ。
 この組み合わせならではの、他に類を見ない独創的な仏教対談になっている。

 呉の専門分野であるマンガ(手塚治虫の『ブッダ』を筆頭とした宗教マンガ)の話から始まる前半は、たいへん読みやすい。後半はやや難解になるが、それでも、重要な問題提起と卓見が随所にあり、最後まで面白く読める。

 ただ、仏教については宮崎のほうが圧倒的にくわしいため、後半は宮崎の独演に呉が短く感想を述べるだけの箇所が多い。丁々発止の応酬が心地よかった『放談の王道』に比べ、本書には“言葉のラリー”の醍醐味が乏しいのだ。
 それでも、質の高い対談集には違いない。『つぎはぎ仏教入門』の内容を一段掘り下げた仏教入門としても読める。

■関連エントリ→ 呉智英『つぎはぎ仏教入門』

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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