上野顕太郎『暇なマンガ家が「マンガの描き方本」を読んで考えた「俺がベストセラーを出せない理由」』



 上野顕太郎著『暇なマンガ家が「マンガの描き方本」を読んで考えた「俺がベストセラーを出せない理由」』(扶桑社/1512円)読了。

 マンガ家の著者が、子ども時代から現在までに収集した250種類もの「マンガの描き方本」を紹介した本。中身はマンガではなく、文章がメインである(一部はマンガ)。
 本書に登場する「マンガの描き方本」のうち、最も古い本は大正9年のもの(!)。この分野に100年近い歴史があったとは驚きだ。

 タイトルこそおちゃらけているが(「暇なマンガ家」というのは著者のキャッチフレーズのようなもの)、内容はけっこう真面目な研究書になっている。
 「マンガの描き方本」の時代ごとの変遷などもきちんと研究しているし、本書自体がマンガ史の貴重な資料といえる。他に類を見ない本であるし、おそらく今後も類書は出てこないだろう。それこそ、手塚治虫文化賞の「特別賞」を受賞してもよいくらいの労作だと思う。

 だが、資料的価値の高さと面白さは必ずしも比例しない。マンガ評論家・研究者でもないかぎり、本書を読んで面白いとは思えないのではないか。少なくとも、私には面白くなかった。
 さりとて、マンガ家志望の若者が本書を読んで創作の参考になるかといえば、たぶんならない。「実用性」があるわけでもないのだ。

 文章の随所に笑いを狙った箇所があるのだが、それらがことごとく笑えない。ダダすべりである。
 ダダすべってる一例を挙げる。

 「みんながGペンを使っているなら、俺はハンペンで描いてやろうじゃないか!」てな調子で、今頃は世界でただ一人のハンペン・マンガ家として名を成し、アングレーム国際漫画祭にも鳴り物入りで……いやハンペンだけに練り物入りで招聘されていたかもしれない。



 ううむ……。
 上野顕太郎にはシリアスな作品もあるものの、基本的にはギャグ・マンガ家であるわけで、「ベストセラーを出せない理由」はギャグ・センスが(略)。
 まあ、この「しょうもなさ」こそが上野のギャグの持ち味なのかもしれないが。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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