石塚真一『BLUE GIANT』



 石塚真一『BLUE GIANT』(ビッグコミックス)の既刊1~7巻を、仕事上の必要があってkindle電子書籍で購入し、一気読み。

 本格ジャズ・コミックであると同時に、昔ながらの少年マンガのような匂いもあって(連載誌はオジサン・マンガ誌の『ビッグコミック』だが)、じつによくできた作品。

 宮谷一彦の初期作品に、ジャズ・ミュージシャンを主人公にしたいくつかの短編がある。中でも「ラストステージ」(1970年)という短編はまことに素晴らしく、ジャズ劇画の最高峰だと私は思っている。
 その気持ちはいまも変わらないが、時代の変遷もあり、ジャズをマンガで表現するための技法という点では、この『BLUE GIANT』のほうが数段進化している。

 「少年マンガっぽい」と感じさせるのは、「世界一のサックスプレーヤー」を目指して奮闘するまだ10代の主人公・宮本大の天真爛漫なキャラ設定が、まるで昔のスポ根マンガのヒーローのようだから。

 1巻から7巻までを一気に読むと、内容が尻上がりにどんどん深みを増してきたことがわかる。
 4巻途中までの仙台編(高校時代編)もまあまあ面白いし、大にサックスを教える師匠・由井との絆は胸を打つが、大が上京してからのほうが俄然面白い。
 とくに、天才肌でワンマンなピアニスト・沢辺雪祈(ゆきのり)との出会い以降は、彼と大のキャラのぶつかり合いがスリリングだ。

 メモしておきたいようなセリフも多い。
 「全力で自分をさらけ出す、それがソロだろ? 内蔵をひっくり返すくらい自分をさらけ出すのがソロだろ。君はソロができないのか?」(7巻)とか。

 コミックス各巻の巻末に、主人公・大が世界的プレーヤーになった近未来を舞台に、登場人物1人ひとりに大との「思い出」をインタビューしていくという体裁の「BONUS TRACK」が収録されている。これは、大変気の利いた好企画だと思う。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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