橘玲『言ってはいけない』



 一昨日の新幹線で読んだ本の2冊目は、橘玲著『言ってはいけない――残酷すぎる真実』(新潮新書/842円)。

 帯には「遺伝、見た目、教育に関わる『不愉快な現実』」とある。
 進化論、遺伝学、脳科学、行動経済学など、さまざまな分野の研究・統計調査の結果から、一切のキレイゴトを排して「残酷すぎる真実」を浮き彫りにしていく本。

 「残酷すぎる真実」とは、たとえば次のようなこと。

 美貌を5段階で評価し、平均を3点とした場合、平均より上(4点または5点)と評価された女性は平凡な容姿の女性より8%収入が多かった。それに対して平均より下(2点または1点)と評価された女性は4%収入が少なかった。(中略)
 経済学ではこれを、美人は8%のプレミアムを享受し、不美人は4%のペナルティを支払っていると考える。


 
 ……このような、「それを言っちゃあオシマイよ」な話が、次から次へと登場する本なのだ。

 本書は、当ブログでも取り上げた同じ著者の『「読まなくてもいい本」の読書案内』の、スピンオフ本として生まれたものだという。

 『「読まなくてもいい本」~』は、複雑系科学・進化論・ゲーム理論・脳科学・功利主義の5分野の概要と最前線を、手際よく紹介した概説書であった。それに対し、本書はさまざまな分野の最新研究から、身もふたもない話を選り抜いて紹介した本なのだ。

 著者は研究者ではないから、本書はさまざまな分野の研究をパッチワークした、いわば「受け売り本」である。しかし、著者の受け売りは洗練された見事なものであるため、「他人のフンドシで相撲を取るお手軽本」という印象を与えない。
 たかが受け売りも、ここまで巧みなら立派な「芸」になるのだ。

 本書は読み物としては大変面白いし、たんに「話のネタ」とする分には有益な雑学本といえる。
 ただ、内容を鵜呑みにするのは危険だ。ベースになっているのが科学者の研究であっても、その研究が正しいとは限らないのだし……。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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