平岡陽明『ライオンズ、1958。』



 昨日は、都内某所で作家の平岡陽明(ようめい)さんを取材。
 初長編にして初の単行本である『ライオンズ、1958。』(角川春樹事務所/1728円)の著者インタビュー。

 『ライオンズ、1958。』は、西鉄ライオンズが奇跡の日本シリーズ三連覇を成し遂げた時代の博多を舞台に、ヤクザと新聞記者(ライオンズ番記者)の奇妙な友情を描いた作品。「ブロマンス(ブラザー・ロマンス=男同士の親密な友情)」ものとも言えるし、“ハードボイルド人情ドラマ”という趣でもある。

 物語の設定としては、重松清が広島カープ初優勝の年を描いた『赤ヘル1975』に近い。が、作品の雰囲気としてはむしろ浅田次郎を思わせる。
 
 当時の国民的スター・大下弘が、ベーブ・ルースのごときヒーローとして描かれ、主人公2人をつなぐ架け橋となる。

 野球小説というわけではなく、プロ野球はストーリーの道具立ての一つなのだが、それでも、クライマックスの日本シリーズ(「神様、仏様、稲尾様」の見出しで知られる伝説的シリーズ)の描写などは素晴らしい。スポーツ小説屈指の名作『監督』(海老沢泰久)を彷彿とさせる。
 プロ野球がいちばん輝いていた時代の熱気が、ヴィヴィッドに捉えられた小説である。

 情景・風景描写はぎりぎりまで削ぎ落とされ、印象的なエピソードの連打でテンポよくストーリーが進んでいく。方言を巧みに使った会話も心地よい。
 小説のおいしさが、隅々まで濃密に詰まった傑作。「本屋大賞」とかを獲っても不思議はないと思う。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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