鈴木良雄『人生が変わる55のジャズ名盤入門』



 鈴木良雄著『人生が変わる55のジャズ名盤入門』(竹書房新書)読了。
 KindleUnlimitedに入っていたので読んでみたもの。

 この手のジャズ名盤ガイドは山ほど出ていて、名盤のラインナップも内容も似たり寄ったりなわけだが、本書はジャズベーシストの巨匠・鈴木良雄が著者である点がミソ。
 過去の類書はジャズ評論家やジャズ喫茶の名物マスターが著者のものが多く、プレイヤー視点から作られたものは意外にありそうでなかったからだ。

 70年代末から80年代には渡辺貞夫や日野皓正のフュージョン系アルバムがバカ売れしていたわけで、あのころにナベサダやヒノテルが著者の「ジャズ名盤ガイド」が作られていたら、絶対売れていたはずだ。なかったのが不思議。

 本書は鈴木良雄と彼のジャズ仲間(ミュージシャンやジャズ喫茶のオーナー、評論家、プロデューサーなど。タモリも参加)50人が選んだ名盤のデータを集計し、約1000枚の中から上位55枚をセレクトしたガイド。その一枚一枚について、ライターが鈴木に話を聞いて構成(=文章にまとめること)している。

 55枚のセレクトはド定番中心なので、意外性は皆無。ただ、鈴木の話自体が「へーえ、ジャズ・プレイヤーはそんなふうに感じるんだ」という発見に満ちていて、面白く読める。
 鈴木自身が交流のあったアーティストについては随所で思い出話も語っていて、ジャズ・ジャイアンツのエピソード集としても楽しめる。

 一つだけ難を言えば、構成したライターが「(笑)」を多用しすぎていて、読んでいてちょっとウルサイ。
 談話を構成する場合、取材で笑いが起きた箇所に全部「(笑)」を入れると、すごく不自然になる。その場でしかわからない面白さというものがあって、読者には何がおかしいのかわからない場合が多いからだ。

 ちなみに、対談・座談会などの記事に「(笑)」を使う手法は、菊池寛が『文藝春秋』誌上で始めたとか。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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