広谷順子『その愛に』『BLENDY』



 シンガーソングライター・広谷(ひろたに)順子の『その愛に』と『BLENDY』を聴いた。1979年と翌80年に発表された、彼女のファースト&セカンドアルバムである。

 先日松任谷正隆の『僕の音楽キャリア全部話します』を読んで、ふとこの人のことを思い出した。私は彼女を、松任谷がDJをしていた「サウンドストリート」でかかった「古都めぐり」で知ったからである。

 「古都めぐり」は広谷順子のセカンドシングルで、松任谷正隆がアレンジをしている。初めて聴いたとき、「なんときれいな歌声だろう」と思い、そのメロディーも強く印象に残った。



 「古都めぐり」が入ったファーストアルバム『その愛に』は90年代に一度CD化されたものの、長らく中古市場で高値を呼んでいて、手が出なかった。
 だが、今回ふと名前を検索してみて、昨年再発されていたことを知り、手を伸ばしてみたしだい。



 広谷順子は3枚のソロアルバムを発表しているが、けっきょくブレイクすることはなかった。その後は、セッション・シンガー/作曲家として活動しているらしい。

 アルバムを丸ごと聴くのは今回が初めてだが、いま聴くとさすがに古めかしい。ファーストはニューミュージック寄りで、セカンドはシティポップ/AOR寄りという違いはあるものの、いずれも「歌謡曲のシッポを残したままの、一昔前の日本のポップス」という印象なのだ。
 曲としても、「古都めぐり」を凌駕するものは一つもない。

 だがそれでも、透明感に満ちて伸びやかな広谷順子のヴォーカルには、やはり並外れた魅力がある。ヴォーカルの素晴らしさを味わうだけでも一聴の価値がある、J-POPの隠れた名盤だ。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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