宝木範義『パリ物語』



 月に一度くらいの割合で、仕事が詰まっているのに、まったく原稿を書く気にならない日がやってくる。
 私にとっては昨日がその日で、何もせずにダラダラと過ごしてしまった。

 昔はそんなときに「ああ、丸一日無駄にしてしまった。俺はなんてダメな奴なんだ」と落ち込んだりしたものだが、最近は「女性の生理のようなもの」だと思うことにしている。
 そのココロは、「あってあたりまえだし、ネガティブに捉える必要もない」ということ。「あ、今月は今日きちゃったかァ。しょうがないな。今日はダラダラしよう」という感じ。

 「何もせずにダラダラする日」も、人間にとっては時に必要であり、大切な「人生のすき間」なのである。
 そうした「すき間」をもうけないまま、長年ギチギチの状態で生きていると、心や体の病の引き金になりかねないのだと思う(と、怠けの自己弁護)。


 宝木範義(たからぎ・のりよし)著『パリ物語』(講談社学術文庫)読了。仕事の資料として。

 タイトルやカバーの印象は、「パリに旅する人のための旅行ガイド的エッセイ」という感じだ。じっさい、そのような読み方・用い方もできる本だが、内容はもっと高尚で文化的である。

 これは何より、「芸術の都」としてのパリの歴史をたどった文化史であり、とくに美術史にウェートが置かれた内容なのだ。
 しかも、「パリの文化史」が編年的に、無味乾燥に記録されるのではなく、薫り高いエッセイとして綴られている。
 元は新潮選書の一冊だったそうだが、講談社学術文庫に収められるにふさわしい本だ。

 著者は、世田谷美術館学芸部長なども務めた美術評論家。『ウィーン物語』という、同系列の著書もある。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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