平田俊子『低反発枕草子』



 今日は、時々やっている「世界の女性大使」というシリーズ記事の仕事で、マケドニア共和国駐日大使のアンドリヤナ・ツヴェトコビッチさんを取材。品川区のマケドニア大使館にて。

 マケドニアと聞いたとき、アレクサンダー大王を生んだ古代マケドニア王国しか思い浮かばなかった私。
 だが、現代のマケドニアは、旧ユーゴスラビア崩壊後の1991年に独立した、バルカン半島の新しい国だ。

 日本に大使館を開設したのもつい最近で、アンドリヤナさんは初代駐日大使である。まだ30代半ばで、日本に100人以上いる駐日大使のうち、最年少だという。

 アンドリヤナさんは、元々は日本映画の研究者兼映画監督で、日本大学大学院で博士号をとった。流暢な日本語を操り、京都大学で准教授を務めたこともある。日本文化に通暁している点などから、初代大使として白羽の矢が立ったのだ。

■参考→ 『ジャパンタイムズ』掲載の、アンドリヤナ大使へのインタビュー記事

「うーむ、世界にはすごい人材がいるものだなァ」と、感服させられる取材であった。


 行き帰りの電車で、平田俊子著『低反発枕草子』(幻戯書房/2592円)を読了。詩人で、小説なども書く著者によるエッセイ集。

 すでに還暦を超えているわりに、著者の文章はすこぶる若々しい。30代だと言われても信じられる感じ。
 詩人ならではの鋭敏・繊細な言語感覚が随所で光る、楽しいユーモア・エッセイである。タイトルからして面白い。

 歌人の穂村弘や翻訳家の岸本佐知子など、著者よりやや若いユーモア・エッセイの書き手と比べると、「妄想力」がいま一つというか、ぶっ飛んだ感覚はあまりない。
 が、どうということのない四季折々の日常を、読者が愉しめるエッセイに仕立て上げるテクニックは、端倪すべからざるものだ。

 それこそ、日本の随筆の原点たる『枕草子』を、21世紀に移植したような趣。爆笑ではなく微苦笑を誘う上品で淡いユーモアが、全編に横溢している。

 どことなく『枕草子』っぽい一節を、例として引いておく。

 夏の間は見るのも嫌だった毛布が、恋しくてたまらない季節になった。この世に毛布があってよかった。毛布なしでは生きていけない。毎晩ベッドに入るたびにそう思う。夏の間親しかったタオルケットのことは、とうに忘却のかなたである。今にして思えばあいつは軽くて薄っぺらなヤツだった。温もりを知らないヤツだった。
 毛布は違う。温もりだけから出来ている。どこをいつ触っても温かい。機嫌が悪くてきょうは冷たいなんてことはない。


  
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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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