『ムーンライト』



 『ムーンライト』を映像配信で観た。



 アカデミー賞で8部門にノミネートされ、作品賞・助演男優賞・脚色賞の3部門を制覇した作品。
 たしかに秀作だが、アカデミー作品賞受賞作とは思えないほど、ものすごく地味な映画である。「ミニシアター系」という感じ。

 黒人コミュニティーの内側にも厳然と存在する差別(ゲイ差別や、「より黒い肌を持つ者」への差別など)や、貧困地域に蔓延するドラッグ禍など、米国の社会問題を扱いつつも、その描き方はあくまで個人的、かつ詩的で静謐である。「声高に社会問題を叫ぶ」ような映画ではないのだ。

 ジャンキーである母に、時にはネグレクトされ、時に暴言を吐かれて苦しむ子ども時代を送った主人公が、大人になってから自らもヤクの売人になるしかなかった、という「貧困の連鎖」の描写に、胸を衝かれる思いがした。

 それでも、物語の最後には、主人公の人生に一条の希望の光が差し込む。少年時代にたった一度だけ愛し合ったケヴィンと再会して和解を果たし、母親とも和解するのだ。

 子ども時代・少年時代・成人後と、3つの年代の主人公を演じた3人の俳優もよいが、私は母親役のナオミ・ハリスの演技に強い印象を受けた。彼女は、『マンデラ 自由への長い道』でのウイニー(マンデラの妻)役も素晴らしかった。

■関連エントリ→ 『マンデラ 自由への長い道』

 流麗なカメラワークと、光と色彩の緻密なコントロールも見事だ。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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