『LOGAN/ローガン』



 『LOGAN/ローガン』を映像配信で観た。



 「X-MEN」シリーズの主要キャラクター「ウルヴァリン」ことローガンの最期を描いた映画。
 同じマーベル・コミックから生まれた作品でありながら、昨日観た『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』とは正反対の、ダークでシリアスなストーリーだ。

 無敵のスーパーヒーローが老いて能力を衰えさせた落魄の姿が、リアルに描かれる。
 ローガンは運転手として働いて細々と生計を立て、認知症になった「プロフェッサーX」を介護しながら暮らしている。

 彼らと同じミュータントは、もう25年も生まれておらず、絶滅の危機に瀕していた。
 そんななか、ローガンは「ローラ」という11歳の少女を守ってノースダコタまで送り届けてほしい、という依頼を受ける。やがて、ローラもローガンと同種のミュータントであることが判明する。
 ローラたち(ほかにもミュータントの子どもたちがいる)を葬り去ろうとする組織から守るため、ローガンはボロボロになった体に鞭打って、最後の闘いに臨むのだった。

 ……と、いうような話。認知症の老人を介護しながら闘うヒーロー! こんなにシリアスでリアルなヒーロー映画は前代未聞であろう。
 最後に残った子どもたちに希望を託そうとするあたりも、少子化社会のメタファーに思えなくもない。世界一の速度で少子高齢化が進む日本に住む我々こそ、いちばんローガンに感情移入しやすいのではないか。

 まあ、そんなふうにこじつけなくても、ローガンのアメコミ・ヒーローらしからぬ悲壮な闘いぶりは、それだけで十分感動的だ。

 ローラ役の、すごく大人びた顔立ちの12歳の美少女、ダフネ・キーンの演技も強烈な印象を残す。

 彼女が死んだローガンを弔うため、聖書の一節の代わりに『シェーン』のセリフを暗誦するラストシーン(なぜ『シェーン』なのかは、観ればわかる)は、感涙必至である。
 ローラたち――最後に残ったミュータントの少年少女が希望の未来を探して旅立つ、余韻嫋々の幕切れ。それは、『スラン』から『地球へ…』に至るまで、あまたあるミュータント・テーマSFの名作の読後感に、勝るとも劣らない。
 
 エンタメではあるが、観る者に娯楽を超えた感動を与える傑作。
 
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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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