ボブ・グリーン『父からもうすぐ逝ってしまう君へ』

父からもうすぐ逝ってしまう君へ 心を揺さぶる37話父からもうすぐ逝ってしまう君へ 心を揺さぶる37話
(2009/09/30)
ボブ・グリーン

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 ボブ・グリーン著、桜内篤子訳『父からもうすぐ逝ってしまう君へ/心を揺さぶる37話』(きこ書房/1470円)読了。

 ボブ・グリーンのコラム集を読むのは久しぶりだ。20年ぶりくらいかも。
 1980年代後半に日本で「アメリカン・コラム」のブームが起きたころ、ご多分にもれず、私も『アメリカン・ビート』や『チーズバーガーズ』といったグリーンのコラム集を愛読したものだ。

 だが、「20年ぶりのボブ・グリーン」はずいぶん色褪せて見えた。うーん、つまらない。副題には「心を揺さぶる37話」とあるが、ちっとも揺さぶられなかった(笑)。

 ボブ・グリーンのコラムって、こんなに陳腐で説教臭かったっけ? 何より、「昔のアメリカはよかった。いまのアメリカ人はたいせつなものを失ってしまった」みたいなトーンが全編に通底しており、それがじじむさくて鼻について仕方なかった。

 本書は、米国では1997年に刊行されたコラム集の邦訳であるようだ。私がかつて愛読した『アメリカン・ビート』のころに比べて、グリーンのコラムが劣化したのか、それとも、読む私の目が肥えたのか? 

 まあ、収められた37編の中にはいいコラムもあるのだ。が、1冊の本として見たらかなり質が低い。
 だいたい、『父からもうすぐ逝ってしまう君へ』という邦題もいただけない。集中の一編の題をそのまま用いたものだが、当該コラムは本書の中ではむしろ質が低いほうだし、ボブ・グリーンは「お涙ちょうだい」的に売る書き手ではないはずだ。やっぱ「きこ書房」じゃダメだな(偏見)。

 市井の人々の人生の輝きを鮮やかな一閃で切り取るのがボブ・グリーンの作風であったはずだが、その手の本としては、たとえば藤原新也の最新エッセイ集『コスモスの影にはいつも誰かが隠れている』のほうが、本書よりも10倍上質で、はるかに深みもある。

  
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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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