深町秋生『ダブル』


ダブルダブル
(2010/09)
深町 秋生

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 今日は、都内某所で新しい連載の打ち合わせ。
 吐いた息が白くなるほど寒くてビックリ。東京はいきなり真冬である。コートもマフラーも手袋もなしに出かけたことを後悔した。

 連載は月イチで、明年1年間つづく予定。3ヶ月以上先の生活にはなんの保障もないフリーライターにとって、定収入になる連載の仕事はそれだけでありがたい。

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 行き帰りの電車で、深町秋生著『ダブル』(幻冬舎/1575円)読了。

 この作家の本は、デビュー作の『果てしなき渇き』を読んだことがある。面白かったし、新人らしからぬうまさに舌を巻いたが、あまりの後味の悪さにげんなりした覚えがある。

 ■関連エントリ→ 『果てしなき渇き』レビュー

 が、長編第4作となる本書は、『果てしなき渇き』に比べれば一般受けする正統派エンタテインメントで、読後感も悪くない。とはいえ、相変わらずどぎついバイオレンス満載なのだが……。

 一度は犯罪組織を追われた主人公が、手術で顔を変え、別人になりすまして組織に舞い戻り、組織のドンの命を狙う物語。
 手術で顔を変えるというと、ジョン・ウーの『フェイス/オフ』を思い浮かべる向きもあろうが、あそこまで荒唐無稽ではなく、むしろ馳星周の暗黒小説に近い世界が展開される。

 二転三転するスピーディーな展開、テンポよくたたみかけるアクション描写、主要登場人物のキャラ立ちが素晴らしく、一気に読み終えずにはいられない吸引力がある。
 ハリウッド産アクション映画的というか、劇画的というか……。深みもなければ、読み終えたあとにずしりと残る感動もないけれど、つかの間の娯楽としてはたいへんハイクオリティー。

 読みながら、「この人にこういう小説が書けるのなら、馳星周はもういらないな」と思った。「余計なお世話」な感想ではあるけれど……。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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●あと、「1日に1ミリメートルずつでもいいから、前進しよう」という思いもこめられています(こじつけっぽいなあ)。

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