上杉隆『上杉隆の40字で答えなさい』


上杉隆の40字で答えなさい  ~きわめて非教科書的な「政治と社会の教科書」~上杉隆の40字で答えなさい  ~きわめて非教科書的な「政治と社会の教科書」~
(2010/09/18)
上杉 隆

商品詳細を見る


 上杉隆著『上杉隆の40字で答えなさい~きわめて非教科書的な「政治と社会の教科書」~』(大和書房/1155円)読了。

 売れっ子ジャーナリストが、政治・国際・社会分野の計44問の素朴な疑問に、独自の切り口で答えていくコラム集。
 「国会議員の仕事とは何か?」「与党の仕事とは何か?」「民主主義とは何か?」「外交の目的とは何か?」「景気とは何か?」「日本は金持ちなのか貧乏なのか?」などという大きな問いに、まず40字以内でかんたんな定義を与え、そう定義する理由をコラムの中で述べていく構成である。

 上杉自らが本書を“「黒い池上彰」本”と呼んでいるだけあって、どの回答も本音バチバチ、皮肉ビシバシで面白く、なおかつ明快このうえない。
 問いと40字の答えの一部を引くと――。

・「民主党と自民党の違いは何か?」=「小沢一郎がいる『自民党』が民主党。小沢一郎がいない『自民党』が自民党」
・「サミットとは何か?」=「世界のリーダーが集まって何も決めず、ただ褒めあっているだけの会議。夏の風物詩」
・「民主主義とは何か?」=「民意を政治に反映させることだが、実際は衆院で3分の2を握った政党による独裁政治」

 ……とまあ、こんな具合。
 とはいえ、アンブローズ・ピアスの『悪魔の辞典』のような“皮肉のための皮肉”ではなく、時折大真面目で熱い回答も混じる。
 たとえば、「理想的な政治家とはどのような人物か?」との問いには、「自らやると公言したことを、殺されてもやり遂げようとする政治家」と回答している。
 
 要は、記者クラブを核にした「官報複合体」(上杉の造語。官僚とマスコミが一体となって談合している様子を軍産複合体になぞらえたもの)によって見えなくなっている“日本の真実"を、ヴェールを引き剥がして白日の下にさらそうとした一冊なのだ。

 記者クラブや検察への批判は過去の著作のくり返しだし、相変わらずの小沢一郎びいきなど違和感を覚える点もある。また、一つの問いについて2ページから数ページの短い紙数で答えているから、どうしても回答が駆け足のダイジェストになってしまい、舌足らずでもある。

 しかし、たとえば大学生や20代の若者が一重深い「世の中の見方」を知るためには、よい本だと思う。メディア・リテラシーの生きた教科書としても役立つ。

 
関連記事

トラックバック

コメント

コメントを残す

Secret


Guide 

   →全記事インデックス

Profile 

前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

Counter 

メールフォーム

★私にご用の方はここからメールを下さい。

お名前
メールアドレス
件名
本文

最近の記事

マイ「神曲」ベスト100

カテゴリー

タイトルの由来

●「mm(ミリメートル)」は、私のイニシャル「MM」のもじりです。

●私の大好きなギタリスト・渡辺香津美氏は、ご自身のイニシャル「KW」をもじった「KW(キロワット)」を、公式サイトのタイトルにしておられます(同名のアルバムもあり)。それにあやかったというわけです。

●あと、「1日に1ミリメートルずつでもいいから、前進しよう」という思いもこめられています(こじつけっぽいなあ)。

Archives

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
本・雑誌
26位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
和書
21位
アクセスランキングを見る>>