ソラノスフィア (2009/04/29) 新居昭乃 商品詳細を見る |
新居昭乃(あらい・あきの)の『ソラノスフィア』を聴いた。
2009年に出たものだが、現時点での最新アルバムである。少し前に彼女のベストアルバム『空の森』を中古で買ってみたらすごくよかったので、最新作に手を伸ばしてみたしだい。
期待した以上によかった。
1997年に出た『空の森』の収録曲にはどこかニューミュージック的要素が残っていたが、このアルバムはもう完全にヨーロピアン・ポップのイメージ。歌詞は日本語なのに(一曲だけフランス語)、サウンドが日本人離れしている。
朗々と歌い上げる感じの曲は一つもなくて、全編、ボサノヴァ的なウィスパー・ヴォイスで抑えた歌い方。それが新居昭乃の妖精めいたハイトーンの美声にしっくり合っている。
ほぼ全曲のアレンジを手がけている保刈久明が、素晴らしい仕事をしている。凝りに凝った複雑・緻密なアレンジなのに、聴く者にはその複雑さを意識させない。すーっと心に流れ込んでくる。エレクトリックとアコースティック、熱いバンド・サウンドと冷んやりした打ち込みが、絶妙のバランスで調合されている。
1曲目から4曲目までのシークェンスは、非の打ち所がない出来。とくに4曲目「ターミナル」は、いわゆる「神曲」の域である。
↑「ターミナル」。これはライヴ・ヴァージョン。スタジオ版はさらによい。
その後、アンビエント的で退屈な曲がいくつかあるのが私としては残念だが、アルバム全体としては上出来。
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