平山夢明『どうかと思うが、面白い』


どうかと思うが、面白いどうかと思うが、面白い
(2011/06/03)
平山 夢明

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 昨日は新宿にて、編集者とカメラマンとのささやかな忘年会。
 久々に終電まで飲んだ。若いころはよく終電まで飲んだので、新宿発高尾方面行きの終電が0時40分発であることはしっかり覚えていた。けっこうな量を飲んだのに、不思議と頭はスッキリ。

 行き帰りの電車で、平山夢明著『どうかと思うが、面白い』(扶桑社/1365円)を読了。
 ホラー小説作家として知られる著者が、『SPA!』に連載しているコラム(現在は「どうかと思うが、ゾゾ怖い」に改題)の単行本化。

 私は、著者の小説は大藪春彦賞受賞作『ダイナー』しか読んだことがない。なのでファンというわけでもないのだが、『SPA!』の連載コラムはときどき読んで、類のない面白さに感心していた(→『SPA!』のサイトで読める分はこちら)。

■関連エントリ→ 平山夢明『ダイナー』レビュー

 本書の帯には、次のような惹句が躍っている。

狂っているけど、あったかい
人気作家の身辺で起きた、爆笑ご近所ホラー譚!
ここにしかない、平山夢明ワールドへようこそ



 まさにこの惹句のとおりで、内容といい文体といい、誰にも真似できない唯一無二の個性をもったコラム集だ。事実と妄想の境界があいまいな、どす黒く歪んだ変態的世界。なのに、何ページかに一回は爆笑ポイントがあり、読後感はあたたかいのだ。

 タイプとしては岸本佐知子、穂村弘系の妄想お笑いエッセイなのだが、キシモトやほむほむの本よりももっと歪んでいて、もっと下品。

 以下、私が爆笑した一節をいくつか引用。

 知り合いの女の子が通う高校の先生は、数学で方程式を教える時、「Yにこの式をブチ込む。するとXには何をブチ込めば良いのか? さらにZは丸ごとXをブチ込んで良いのか? いけないのか? いつになったらブチ込めるのか?」と代入を〈ブチ込む〉といい続けているんだそうです。ちなみに女の先生らしいんですがね。



 オイラも子どもの頃、「謝って川へ転落し」ってニュースで聞く度に「嗚呼、土手で謝罪するのは命取りだ」と信じていましたし、「電車が普通になりました」って聞く度に、変化する前の「異常な電車」に乗りたくて仕方ありませんでした。



 寒い地域に嫁に行った子がいまして、そこの実家では真冬になると暖房費の節約として家の中にテントを張るらしいんですよね。テントの中だけだと意外に人とミニコンロぐらいで温かくなるもので、これも生活の知恵の発露ですね、離婚しましたけど。



 各コラムのタイトルを列挙しただけでも、「いったいどんな話なのか?」と興味を覚えずにはいられないだろう。たとえば――。

「どんな女のオッパイでも、好きな時に好きなだけ自由に揉む方法」
「『金星からやってきたクラスメイト』との思い出」
「バーコードおやじの頭皮に書かれた謎のメッセージ」
「どんな肩凝りでも一瞬でトコロテンにする凄い薬」
「医者に褒められるくらい、〈器用に車に轢かれた〉男」
「『横浜スカンク』と呼ばれる殺人的タクシー」
「いまや『アネキ』になった『元アニキ』の微妙な置き土産」



 マンガ家・清野とおるが各コラムに添えた狂気を孕んだイラストも、文章とベストマッチでいい感じ。

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Profile 

前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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●「mm(ミリメートル)」は、私のイニシャル「MM」のもじりです。

●私の大好きなギタリスト・渡辺香津美氏は、ご自身のイニシャル「KW」をもじった「KW(キロワット)」を、公式サイトのタイトルにしておられます(同名のアルバムもあり)。それにあやかったというわけです。

●あと、「1日に1ミリメートルずつでもいいから、前進しよう」という思いもこめられています(こじつけっぽいなあ)。

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