西村賢太『一私小説書きの日乗 憤怒の章』


一私小説書きの日乗 憤怒の章 (単行本)一私小説書きの日乗 憤怒の章 (単行本)
(2013/12/25)
西村 賢太

商品詳細を見る


 西村賢太著『一私小説書きの日乗 憤怒の章』(角川書店/1680円)読了。

 昨年2月に刊行された『一私小説書きの日乗』につづく、日記の単行本化第2弾。

■関連エントリ→ 西村賢太『一私小説書きの日乗』レビュー

 版元が文春から角川に変わっている。本書の9割方は文春の「本の話WEB」に連載されたものだが、途中で「本の話WEB」の編集長と西村が衝突し、角川の『野性時代』に連載媒体を移したためである。

 この日記の面白さは何よりも、そのような編集者などとのトラブルがすべて赤裸々に綴られる点にある。
 それ以外は、何を食ったとか誰に会ったとか、テレビやラジオに出演したとかのどうでもいい日常雑記がメインであって、エッセイとしてとくに面白いものではないのだ。

 「相変わらず、実生活ではつきあいたくない男だなあ」と思う。各誌の編集者とこうも頻繁に衝突していたら、本が売れなくなったらたちまち干されるだろうに……。
 とくに、最も頻繁に登場する『新潮』の編集者・田畑氏のことが、読んでいて気の毒になってくる。なにしろ、西村から何度も「クビ」(自分の担当をやめさせるという意味か)を言い渡されたり、しばしば罵倒されたりしているのだから。

 西村が無名無冠の「持たざる者」であったときにはそうした所業が痛快に思えたものだが、いまや売れっ子芥川賞作家なのだから、たんなる傲慢にしか見えない。

 笑ったのは、作家の江上剛と西村が会い、江上のペンネームが親しい担当編集者3人の名前を合成したものだと知ったときの一節。

 自分は、ではもしもその編輯者たちと険悪な状況になったら、そのときはペンネームを変更するのですか、なぞ不躾なことを聞いてしまう。
 だが、よく考えてみれば、普通の書き手は余程のアレな者でない限り、編輯者とは極めて良好な関係を長きに亘って築くものなのであろう。
 自分には、到底真似のできない芸当だ。



関連記事

トラックバック

コメント

コメントを残す

Secret


Guide 

   →全記事インデックス

Profile 

前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

Counter 

メールフォーム

★私にご用の方はここからメールを下さい。

お名前
メールアドレス
件名
本文

最近の記事

マイ「神曲」ベスト100

カテゴリー

タイトルの由来

●「mm(ミリメートル)」は、私のイニシャル「MM」のもじりです。

●私の大好きなギタリスト・渡辺香津美氏は、ご自身のイニシャル「KW」をもじった「KW(キロワット)」を、公式サイトのタイトルにしておられます(同名のアルバムもあり)。それにあやかったというわけです。

●あと、「1日に1ミリメートルずつでもいいから、前進しよう」という思いもこめられています(こじつけっぽいなあ)。

Archives

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
本・雑誌
26位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
和書
21位
アクセスランキングを見る>>