ビジネス『ビジネス』『CRISIA』



 最近は古い音楽ばかり聴いている私。
 1980年代初頭くらいの、私がまだ少年でLPレコード(CD以前)があまり買えなかった時期に、レンタルして録音したカセットテープで聴いていたアルバムが、いまやほとんど復刻されている。もっぱらそれらに手を伸ばしているところ。

 今日は、「ビジネス」のファーストとセカンドを聴いた。80年代初頭にアルバム2枚のみ出して消滅した、マイナーなニューウェーブ・バンドである。

 ポリスのファースト・アルバムみたいな、レゲエ/スカを基調とした乾いたニューウェーブ・サウンドなのだが、それでいて英国ニューウェーブの物真似には終わっていない。昭和歌謡的な要素を取り込んで、すこぶる独創的な和洋折衷ニューウェーブになっているのだ。
 演奏もすごくうまい。タイトなリズムセクションに、小気味よいギターのカッティング。

 「初期ポリスをバックにEGO-WRAPPIN'が歌っているような音」と評していた人がいたが、たしかに言えてる。
 ただ、EGO-WRAPPINほどオシャレではなく、どちらかというとバービーボーイズ的な下世話なカッコよさがある。美空どれみのハスキーなヴォーカルはコケティッシュなのにドスの利いた迫力があって、バービーの杏子を彷彿とさせるし……。

 「うわきわきわき」とか「すっぱい失敗」とか、タイトルだけでニヤリとさせるセンスでOLの恋模様をユーモラスに歌い上げた歌詞も秀逸だ。
 かと思えば、「Gray」とか「Endress 80’s」のようなストレートに洋楽的な曲もあって、それらは初期XTCなどと比べても遜色ないカッコよさ。


↑「ストレートに洋楽的な曲」の一つ、「断線」。「断線、断線……」のリフレインが「Dancin」に聞こえる言葉遊びの妙。



 ラストアルバムになってしまったセカンド『CRISIA』は、ジャケットやタイトルが示すように、ファーストにあった「イロモノ感」が薄れて、すっきりとカッコいいニューウェーブ・サウンド。曲も粒揃いだ。
 惜しむらくは、ファーストにあった並外れたキャッチーさ(一度聴いただけで強烈に耳に残る)が消え、地味になってしまったこと。もっとも、聴き飽きないのはセカンドのほうだと思うが……。

 たぶん10年くらいは早すぎたバンドで、デビューが90年代だったらもっと売れたと思う。
 それどころか、2015年のいま聴いてもまったく古臭くない。隠れた名バンドである。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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●「mm(ミリメートル)」は、私のイニシャル「MM」のもじりです。

●私の大好きなギタリスト・渡辺香津美氏は、ご自身のイニシャル「KW」をもじった「KW(キロワット)」を、公式サイトのタイトルにしておられます(同名のアルバムもあり)。それにあやかったというわけです。

●あと、「1日に1ミリメートルずつでもいいから、前進しよう」という思いもこめられています(こじつけっぽいなあ)。

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