ハルカトミユキの『溜息の断面図』(ソニー・ミュージックレーベルズ)をヘビロ中。
傑作だった前作『LOVELESS/ARTLESS』からわずか10ヶ月のインターバルでリリースされた、サード・フルアルバムである。
■関連エントリ→ ハルカトミユキ『LOVELESS/ARTLESS』
短期間で作られたにもかかわらず、全12曲捨て曲なしの充実作に仕上がっている。
インディーズ・デビュー当時の、「メンヘラっぽい、線の細いフォークロック・デュオ」という印象で、ハルカトミユキのことを食わず嫌いしているロック・ファンも多いだろう。
が、いまのハルカトミユキは日本でも第一級の本格ロック・ユニットであって、耳の肥えたロック・ファンにこそオススメしたい。
前作も本作も、初期のヒリヒリした感覚はそのまま残しつつ、力強さと自信に満ちたロック・サウンドを展開している。
とくに、本作のオープニングから5曲目までの疾走感は圧倒的で、聴く者の耳を釘付けにする。
すごく多彩なアルバムでもある。
ニルヴァーナばりの重く性急なオルタナ・ロック・チューンがあるかと思えば、1970年代のディスコ・ヒットを思わせるキャッチーなダンス・チューンがあったり、静謐で美しいバラードに心洗われたり……。
しかし、バラエティ豊かな曲のすべてがハルカトミユキの個性で染め上げられていて、全体には確かな統一感がある。
全編を聴き終えて思い出したのは、Coccoの傑作デビュー・アルバム『ブーゲンビリア』(1997年)だ。
Coccoはデビュー・アルバムでいきなり頂点を極めてしまった人だと私は思うのだが、ハルカトミユキも本作で一つの頂点を極めたといえるのではないか。
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